以前、投資初心者なら足踏みして迷うくらいなら、インデックス投資からスタートすることをお勧めする記事をまとめました。
要約すると、
投資信託の投資方法の前提は、長期保有+複利で資産を形成していくことが何より大切という内容です。
下の図はその複利と単利のシミュレーションを図にしたものです。

長期的な投資では、短期的に利益をあげることを目的としていない側面が強いので、いかに早く行動できた人が、結果的に時間を味方につけて、複利で資産を形成できる投資手段の一つだからです。
投資信託商品の一つであるETFという商品は、投資の歴史の中では、割と最近生まれた投資パッケージです。
1990年代に米国やカナダの証券取引所で商品化され、2000年代から本格的に運用され始めていました。
その発展に大きく起因した経緯は、それまでのアクティブ型の投資信託の運用実績と報酬に対するカウンター的な特徴を持ったインデックスファンドが一気に広がった流れがありました。
現在ETFというパッケージ型投資商品は、日本に限らず国際的に広がっています。
純資産のシェア比率で言うと、米国 > 欧州 > アジアの順でいわゆる3大通貨の序列と同じ感じです。

やっぱり、どの分野においても、半分以上のシェアを誇るのは米国なんですね。
ETFとは?

「ETF」とは、「Exchange Traded Fund」の略称で、株式取引所に上場している企業だけを集めてインデックス指数に連動することを目的とした「上場投資信託」と呼ばれているパッシブ運用型の金融商品です。
※パッシブ運用
対象指数と同じ銘柄、比率で株式・債権を保有する方法、運用会社の定量的な分析によって、その保有比率を工夫して派生した商品使用する考え方で、指数の動きに連動する運用実績を目指し、市場平均値の収益を目指す運用方法。
インデックスファンドと混同されないように先にお伝えしますと、上場しているか、していないかの違いの他に、1日に1回決定される基準価額で1回しか取引ができません。
ETFは、1日で何度でも取引できるので、いわゆる短期売買のデイトレードも可能です。
これは上場している企業をパッケージしているからです。
インデックスファンドは、非上場している企業も含まれるものをありますので、それができない点が大きな相違点になります。
インデックスファンドは、1日1回の解約としてでないと構造上は売買できません。
ETFには、2つの市場がある
ETFには、「発行市場」と「流通市場」の2つの市場があります。
「発行市場」では、ETF運用会社と指定の参加者の間でしか、ETFのやりとりができません。
発行市場において、ETFのやりとりが行われ、発行済みの受益口数が増減し、その発行された受益権が流通するのが「流通市場」です。
個人投資家は証券会社を通じて、市場価格で取引できる流通市場ではじめて売買がすることができます。
■2つのETF市場
・発行市場(プライマリ市場)→基準価額で大口投資家&機関投資家のみ取引できる。
・流通市場(セカンダリ市場)→市場価格で証券会社を通じて、個人投資家も取引可能。
ETFの種類
連想する指数は、株式だけではなく、債券、REIT(リート)、コモディティ(商品)、通貨の指数があります。
※REIT (Real Estate Investment Trust / リート)
投資家から集めた資金を不動産運用する投資信託の総称。J-REITは、日本の投資信託を指します。
投資家からの資金を不動産に投資し、賃料収入や売却益を投資家に還元する商品です。
国内から海外までの主要なETFをまとめていきたいと思います。
国内株式ETF
日本の代表的な株式指数日経平均やTOPIXに連動することを目指した銘柄。
日本の上場企業の中でも、大企業を対象にしている指数が多いので、純資産総額も大きい銘柄が特徴の一つ。
新しくできた企業(いわゆるグロース株)を中心とした銘柄で、構成しているETFもあります。
外国株式ETF
米国、欧州をはじめ、近年急成長をしている新興国の株式で構成しているETF。
やはり米国経済圏の成長率は圧倒的で、日本に比べ将来性の見込めるものも数多くありますので、メインに投資することをお勧めできる銘柄です。
米国シェアが大きいとは言え、リスク分散の投資の考え方では、新興国を含めた幅の広いETFと合わせれば、より分散することができます。
国内債券ETF
債券という性質上、株式ほど価格の値動きが大きくないので、リスク分散の商品としては選択肢の一つになります。株式とは逆相関関係な特徴もあるので、株式の損失を抑えることができる有力な投資商品です。
債券は国力に依存する傾向があるので、新興国や衰退傾向にある国の債権の価値は大きく変動する可能性があります。
外国債券ETF
国内債券に比べ、種類が豊富で、日本国債券より高い利回りで運用することができるものが数多くあります。(もちろん、それなりのリスクを孕みます)
外国債権の購入時に気をつけるべきことは、為替変動のリスクがあることです。
日本円換算で購入した時より円高になると、円に換金した時に値下がりすることがあるので、常に為替変動には注意をする必要があります。
不動産(REIT)ETF
現物の不動産より遥かに低コストで不動産投資が可能なREITの中でも、より低額でもスタートができるのが REIT ETFです。国内国外を含め、様々な指数に連動するETFです。
比較的高い利回りで運用することが高い事も特徴の一つです。
分配金は年に4回分配される銘柄が一般的です。
コロナ禍の収束の流れで、資金が流入している市場でもあります。
商品ETF
商品(コモディティ)とは、金、銀、原油などの商品を指します。
こういった商品は、物価の上昇(特に米国圏)と連動する特徴もあるので、世界的なインフレリスクに対応したETFです。
ETFのメリット

投資の大前提で、「すべての卵を同じカゴに入れるな」という格言がありますが、聞いたことはありますか?
トレードにおいての「頭と尻尾はくれてやれ」的なものですね。(違うかも?)
分散投資商品の中でも、こういった考え方をパッケージ化したETFはそれだけで、体現しているような商品なので、やらない手はないですよね。
もちろん、それだけでは不十分なので、他の様々な投資商品に分散して合わせて、運用していく必要があります。
長期投資でも短期売買も可能
その話からいきなりひっくり返すような内容ですが、ETFは上場している企業の株式なので、長期投資向きな特徴もありますが、いわゆるデイトレード、短期売買も可能です。
これは上場している企業のパッケージだからです。
指数連動型の投資商品なので、値動きが分かりやすい点も短期売買目線ではメリットになります。
例えば、安定した上場企業の特徴を逆手に取ったトレードや押し目買いなど、トレーダーにあった分析をベースにした成行注文、指値注文での取引も可能です。
※成行注文 リアルタイムの価格で、口数だけ指定して注文を行う注文方法。 ※指値注文 値段と口数をあらかじめ設定して価格が指定の価格まで到達したら注文が自動で執行される方法。
経済的な不況は大なり小なり受けますので、あまりお勧めはできませんが、安定的な指数連動を目指していても、相場の波はありますので、下がる時は下がりますので、そういった視点でもみることも可能です。
コスト面のパフォーマンスがいい
ETFのメリットで、売買手数料、保有手数料(信託報酬)のコストが発生します。
売買手数料とは、株式と同様に売買委託手数料です。
保有手数料とは、信託報酬のことで、非上場の投資信託に比べると比較的安価で済むことから長期目線の投資向きなETFは、管理する上でのコストも安くなることがメリットになり得る商品です。
ETFのデメリット

自動積立ができないことが多い→常に自分で買い付ける
ETFのデメリットとしてあげられるのは、分配金の再投資ができない点です。
値上がり益と海外のETFの場合は、為替益も含まれます。
長期投資の最大の強みは複利効果にあるので、原資+分配益にかかる金利を積み上げていく点にあります。投資信託では、初回に金額を設定すれば、毎月固定の金額で自動で購入を行なってくれるサービスを利用できますが、ETFでは現状ほとんど利用できません。
つまり、複利効果を得るためには、手動で分配金を再投資する必要があるので、一般の投資信託より手間がかかることがデメリットに挙げられます。
ETF の決算日(権利確定日)に、ETFの受益者になる必要があり、遅くても決算日の2営業日までに保有していることが前提です。
銘柄によって分配金の支払いタイミングが異なりますので、把握した上で運用するようにしましょう!

銘柄によりますが、多くても年に4回くらいなので、それを手間と取るかは人それぞれかなと思います。
また、ETFの性質上、個別株のように常に価格は動くので、どのタイミングで購入するか自分で判断する必要があるため、相場分析の知識が必要になります。
そこまでの知識は必要はありませんが、効率的な運用をするためには、最低限の知識と逐一価格の推移をチェックすることが、インデックスファンドより多くなる傾向があります。
トレードに慣れている人にとっては、そこまでデメリットになりません。
つみたてNISAとiDeCoが利用できないことが多い
国から課税が優遇されているつみたてNISAやiDeCoがありますが、ETFの銘柄はほとんど利用できませんので、少額でどうしても非課税枠で運用をしたい人は、NISA口座を選ぶ必要があります。
つみたてNISAであれば、数は少ないですが対象銘柄もあります。どうしてその銘柄で運用したいということがなければ、一般口座かNISA口座で運用をお勧めします。
つみたてNISA口座は、投資信託系の銘柄で運用するみたいな口座を分けて運用する方が一般的です。
iDeCoの対象は、投資信託、保険、定期預金に限定されているので、ETFを運用することはできません。
純資産総額(預かり資産)が少なくなると、運用がストップする可能性がある
ETFでは、上場廃止の基準が設定されているので、純資産総額や運用実績の状況で、株式と同様に「上場廃止」のリスクがあります。
仮に上場廃止が決まってしまっても、整理銘柄扱いとなり、1ヶ月間は売買はできます。
投資信託も同じことが言えますが、銘柄を選ぶ際のポイントに純資産総額をチェックすることが重要です。
年々少なくなって行ったり、横ばいのままの銘柄より、年々時価総額と合わせて純資産総額も大きくなっているものを選ぶことで、最小限のリスクで運用することができます。
同様の指数への連動を目的とする銘柄が複数ある場合は、純資産総額や運用実績を考慮して、選定すれば、ほとんど回避できます。
もちろん、その後の運用の際にも、常にこの純資産総額の推移にも気を留めておくことも重要ですね。
ポートフォリオを考え始める

投資の世界では、金融商品のポートフォリオを考える上で、自己資金を数ある投資商品にどのくらいの割合で運用していくかを考えることを、アセットアロケーションといいます。
直訳すると、アセット=資産、アロケーション=分配という意味ですが、具体的に投資商品の組み合わせをポートフォリオといいます。
投資の世界に第一歩を踏み入れた方達は、おそらくインデックス投資の仕組み、運用方法については理解できたと思います。
そもそも投資を始めること、続けることの目的の最大の理由は、資産形成のためと答える方も多いと思います。一方で現金の価値のリスクヘッジの目的とする人も多いはず。
現在の日本経済で例えると、2020年から2022年2月現在まで緩やかにですが、円安の流れが続伸している状態です。
昨今の日本経済といいますか、、、
株を持たない某総理大臣の発言や施策等、政治が絡むような日本経済に対する影響が大きくマイナス的に働き、時価総額何兆円という額の損失を生んでしまっていたり、国内の代表的な株価指数の大幅下落などをみていると益々焦る気持ちになりませんか?

国民の皆さんが毎月支払っている年金の資金だって、株式や債券で運用されているので、本当に誰も得をしないことを次々と・・・なんて思ったりします。

ちなみに、日本の年金の運用を行なっているGPIF(年金積立資金運用独立行政法人)では、国内債券25%,外国債券25%、国内株式25%、外国株式25%という4分割の比率でポートフォリオを組むように運用されています。
円安の影響と物価の上昇の波もじわじわと来ているニュースもちらほら見かけ始めます。
最近のわかりやすいニュースだと、うまい棒史上初の値上げはご存知でしょうか?
値上げの背景としては、原材料(米国産のとうもろこし)、輸送費の高騰が理由として明記されていましたが、1979年から発売されている長い歴史で初めての値上げ対応の裏には、密接に経済と為替が結びついているいい事例かもしれません。
当時のSNS上では、多くの人が結構笑い話で済ませていましたが、、

※毎日新聞社記事引用
どちらかと言うと、為替や株式など意識しているスタンスになってからは、特に目にするようになった感じもします。

こういった経済状況など気にするようになる事も始めてよかった理由の一つです。
これまでが無関心すぎた自分に恥を覚えるくらいです。
投資を続けていく上で、思考ゼロで安全と言われているであろうインデックス投資を続けていればいいというものではありません。
投資を続けていくということは、日本を含めた世界の経済の動きを追うことが、自然に身につくはずです。特に、ダイレクトに通貨の価値が目に見える為替は切っても切り離せません。
なぜなら、投資の目的の大きな理由が現金のリスクヘッジに他ならないからです。
投資は自分の将来の為資産形成)、現金のリスクヘッジの為という2つの理由以外が最大の目的になる人はほとんどいないと思います。
つまり、投資の中でもリスクを分散する必要があることは何となく理解できますよね。
その中でも、インデックスファンドはすでにリスクを分散している投資パッケージ商品なので、初心者にもお勧めした経緯もあります。
投資の大前提で、「すべての卵を同じカゴに入れるな」という格言もありますよね。
この投資商品は何の為のリスクヘッジになっているのか、それを考えていくと自然と複数の金融商品を購入してポートフォリオを組むことがベストだという判断になってきます。
投資に対する考え方は人それぞれなので、どういった構成のポートフォリオにしていくかも千差万別だと思います。
個人的には、インデックス投資を始め、ETFなど長期積立投資を行う上で、様々な経済要因に対するリスクヘッジを行いつつ、積極的な投資も取り入れることで、結果的にバランスの取れたポートフォリオを作れると考えています。
ぜひこの機会に、自分にあったポートフォリオについて考えるきっかけになれば、幸いです!
それでは!